3月20日(日)

まだ行ったことがない23区に出かけてみよう、ということになり我々は電車を乗り継いで蒲田駅に向かった。そう、行くのは大田区だ。大田区の印象といえば大森がどうしても強いのだが、別に好きというわけではない。数年前に大森海岸を見てみたくて友人と一緒に大森駅に初めて降りたが、淀んだ空気と晴れているのか曇っているのかわからない気候に頭がくらくらしてしまった。その後もキネカ大森に1〜2回映画を見に行ったことがあるが、用がなければなるべく立ち寄りたくは無い街、というのが正直なところだ。

 

でも今日の目的地は大森ではなく蒲田。蒲田は高校生の頃に水泳部のメンバーと市民プールに泳ぎに来たことがあるくらいで、ほとんど知らない街だ。駅を出るとチェーン店が立ち並び、所々に行列もできている。日曜のお昼だからか人も多く、大体は駅に向かって歩いていた。蒲田小学校の側の呑川はひどく濁っていて生物の気配すら感じなかった。しばらくまっすぐに歩くと商店街があり、そこを抜けると京急蒲田駅に着いた。京急蒲田といえば、羽田空港に勤めるCAさんが多く住んでいることで噂だけど、本当に住んでんのか?と疑ってしまうほどに何も無い。駅にはタリーズとGUが入っていて、外から建物を見るとまるで巨大な立体駐車場のようだった(実際に半分は駐車場の役割も担っているらしい)。夫婦橋の方に行くと公園があった。4〜5人の男グループが遊んでいたが、仲の良さと見た目のイメージが全然つり合っていなかった。推測するに、高校を卒業してから何年か別々の場所で過ごした友人同士が久しぶりに地元で再会した感じだった。変なポーズでブランコを漕いだりしていて楽しそうだった。

 

THE・大田区の蒲田の印象は、川が濁っている街だ。チェーン店が多く並ぶ街並みは人も多く一見寂しくはなさそうであるが、この短時間では蒲田はその影に隠れてしまっていて、その素顔を覗くことはできなかった。しいていえば西口は住みやすそうだった。中央口の湿った空気感と比べると家族づれが多くて活気を感じた。

 

夕方、蒲田を後にして大井町に移動。母校の高校があるこの街は馴染み深く色々な思い出もある。昨年末に忘年会という名目で大井町に集まり、レモンサワー飲み放題という看板文句に踊らされてビタミンCを過剰摂取してしまい、あわや一同おしまいになってしまう事態に陥ったことはまだまだ記憶に新しい。高校生の頃はイトーヨーカドーマクドナルドや学校横の中央公園に集まっていた僕たちだが、大人になった今ではかつて味わうことができなかった"酒の大井町"を存分に堪能している。適当に路地をぶらついて、牛タン居酒屋でビールとハイボールと牛タンを食べた。通してもらったカウンター席が後ろの幅がとても狭くてとてもトイレに行けそうになかった。10点減点〜

 

またまた移動して下北沢へ。本田劇場で観劇した後によく行っていた「ざこや」で〆る。ごぼうの唐揚げ、焼きそら豆、ポテトサラダ、煮込み豆腐をいただく。このお店のご飯は本当に美味しくて、特に風呂吹き大根が絶品なんですけど、今日は残念ながら品切れでした。ビールに日本酒をグラスで3杯も飲んだ。お店のスタイルだと思うんだけど、新規でお客さんが来たときは検温をする必要があるから少し外で待ってもらえますかと声をかけている。しばらく見ていると少しも待てないお客さんが結構いるので、ああ少し待っていればこんなに美味しいご飯が食べられるのに、、と同情してしまった。お店としては短気なお客さんを入れないように出来るから良いのかもしれない。昔から「しばし待て」が中々できない性分だけれど、少しの想像力を持って「しばしなら待てる」ようになりたいものである。